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うなぎ屋の三代目が綴る、うなぎ、ご飯、食べ物などにまつわるブログ


by eelsuzumo
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縁起をかつぐ言葉

うなぎの串のお話で(前回を参照) 「打つ」というお話をしました。
うなぎの串は、「刺す」のではなくて「打つ」といいます。
言葉としては、刺すのほうが表現として適切なのかもしれません。

*注:こういう言葉は、地域性もあると思いますので、
    あくまで、蒲焼小僧の見聞きする範囲のものと、
    考えていただければ良いと思います…(^^;)

さて、言葉づかいとしてはともかく、仕事場での用語として、
串を刺すことを「打つ」と言います。
そして、串をうなぎに打つ作業そのものを、「串打ち」と呼びます。

以前に年長者から聞いた話では、刺すは言葉が良くないのだそうです。
言葉が良くないというのは、縁起が良くないということだそうで、
「切る」、「する」なども良くないと教えられています。

実は、「打つ」と言う言葉を、包丁で切る場合にも使います。
キャベツを「切る」のではなく、キャベツを打つなどと教えられました。
「打つ」とは意味合いが違ってくるのですが…他にも「切る」ではなく、
包丁するとか、むき物という言葉もあります。

「する」という言葉も嫌われています。
ギャンブルで「する」と言うように、縁起の良くない言葉なのでしょう。
するめのことを、あたりめ(当たりの意)と言い換えたり、
すり鉢を、あたり鉢と言ったり、すりこぎをあたり棒と言ったりします。

もともと、日本語は風流な言葉遣いを持っていると思いますし、
江戸時代からある「粋な言葉」も数多くあると感じます。
また、縁起をかつぐのも、古くから習慣としてきたようですから、
聞こえが良くて、縁起の良い物言いに気を遣うのも、
日本人としては普通、むしろ日本人らしくて良い、
そんな風に、私は考えています。

ただ、言葉として正しいかどうかは疑問が残るところです。
もしかしたら、言語学者の先生や、言葉の歴史に詳しい方などからは、
「違う」と言われるかもしれません(^^;)
でも、庶民が生活の中、日々ちょっとした事で縁起をかつぐのは、
そんなに悪い事でもないんじゃないかと思います☆

単なる言葉の言い換えではなく、少しでも縁起良く、
日々の暮らしを過ごそうとしたのではないかと感じます。

そんな日本人の感覚が好きな、蒲焼小僧です。
by eelsuzumo | 2006-03-20 09:51 | うなぎ屋の道具